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薬と花

日本では古くから遊廓などが成立を見た頃にはすでに流行を見せていた感染症のひとつが梅毒になります。淋病に並んで患者数の多さでもこの病気に倒れる著名人も少なくないことから、身近な感染症のひとつと認識されてきたのです。梅毒の原因は、梅毒トレポネーマという細菌の一種です。原因となる感染経路は飛沫感染することはなく、主に性行為を介在することから性病の一種なのは明らかと言えます。この病気の知名度が高いことの背景には、一度感染すると有効な治療薬はなく進行するに任せるほかない不治の病だったとの認識が広く共有されていたことが関係しています。

梅毒トレポノーマは原因となった性行為のあと2週間から3週間ほどの潜伏期間を経て、性器に痛みを伴わないしこりを形成することが初発症状になります。原因菌に対する免疫反応で足の付け根周辺の、リンパ節が腫れることもあります。リンパ節には免疫細胞のひとつのリンパ球が集まる器官のひとつですが、細菌感染などを探知した時には、盛んに活動し腫瘤として探知されることがある訳です。しかしこのリンパ節の腫れもやはり痛みなどの自覚症状はなく、いずれの症状も数か月ほどの期間が経過すると消失してしまいます。その後は一旦症状は消失し、数か月から数年ほど経過しますが、その間も感染菌は体内で増殖を続けており全身へと感染範囲を拡大してゆくことになるのです。

初期から中期にステージが移行すると、手の平や足の裏などにかゆみのない紅色の発疹(バラ疹)が出てくることになり、特徴的な脱毛症状のほか発熱や全身倦怠感などの全身症状も出現します。泌尿器系や中枢神経系などの多彩な部位に症状を呈することも。この段階で異変を自覚し、医療機関を受診することになりますが、有効な治療法が開発されていない時代にはこのまま放置するほかありませんでした。さらに進行すると中枢神経に病変が波及し認知症や大血管拡張などの心臓病変なども観察されるようになります。特にゴム腫と呼ばれる特徴的な腫瘍が随所に発生し、顔面の鼻が崩壊し著しい容貌の変化をもたらし最終的には生命にかかわることから、結核などと同様に梅毒は不治の病とながらく認識されていたわけです。

梅毒が完治な感染症のひとつになったのは、抗生物質の開発と実用化によるところが大きいのは確かです。とりわけ梅毒を完治可能にする点で貢献したのが、ペニシリン系抗生物質になります。
梅毒の治療薬として現在主流なのは、サワシリンになります。サワシリンは有効成分にアモキシシリンを配合しているのが特徴。サワシリンはペニシリン系抗生物質の一種で、有効成分のアモキシシリンには細菌の細胞壁の生成を阻害する作用をもっているので、成長することができなくなり結果的に細菌の増殖を抑制する効果を有しています。サワシリンは従来から治療薬として使用されてきた実績があり、ジェネリック医薬品も存在しているのです。サワシリンのジェネリック医薬品は、ノバモックスになります。ノバモックスは有効成分にアモキシシリンを配合しているので、先発薬サワシリンと同様の効果を期待することができます。一般的に研究開発に巨額の費用を必要としないジェネリック医薬品は薬価が低く抑えられているのが特徴。

ところでペニシリン系抗生物質は、特有のアレルギー反応が出現するという副作用の問題を抱えていました。サワシリンやノバモックスの有効成分のアモキシシリンには、ペニシリンショックなどの副作用は比較的出現するリスクは低いとされています。しかし過去にショック症状などの副作用の既往歴があるときは、テトラサイクリン系のミノサイクリンなどが治療薬に選択されることもあります。